原子を並べて新しい半導体を作る

【研究概要】 原子精度で物質を加工する技術は、集積回路の大容量化・高速化・多機能化や新物性材料の創生のために極めて重要です。本研究室では、基板表面での『異種原子の並べ方を制御』し、その上に『半導体の結晶成長』を行うことにより、『人工的なナノ半導体』を作る研究をしております。また、狙い通りの構造ができているかどうかを『原子レベルで評価分析』する方法についても研究しています。

【研究目標】 Si集積回路に用いられる半導体デバイスの超高速・超低消費電力・高機能化のため、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)によるラングミュア型吸着・反応制御を駆使した原子層積層技術はますます重要となってきている。それを基盤にして、Si, Ge, SiGe, SiGeC及び不純物(B, P, C, N等)の異種原子層配列制御を極限まで高度化し、高キャリア濃度と高キャリア移動度を兼ね備えた非平衡歪制御Si-Ge-C系IV族半導体を創製するとともに、さらにそのナノ立体構造化のための基盤技術を確立することが本研究室の目標である。具体的には、低温での熱分解やプラズマ励起反応等を駆使した非平衡不純物原子層制御によるIV族半導体の超高キャリア濃度化、原子層レベルでのSi及びGeの歪制御によるエネルギーバンド構造制御と超高キャリア移動度化を可能にする。同時に、CVD原子層選択エピタキシャル成長と原子層選択エッチングを駆使することにより、リソグラフィ技術の微細化限界を打破して、基板面内方向の寸法をサブナノメートル精度で制御したナノ立体構造の実現を図る。これらにより、既存のSi、SiGe混晶やGe材料を用いた場合の物性限界・微細化限界を超える高度歪制御ナノ立体構造や室温共鳴トンネル構造を創製すると同時に、それをデバイス製作に適用し、大規模集積化対応IV族半導体量子効果ナノデバイスの実現への道を切り開く。


主な研究テーマ
1. Si-Ge-C系IV族半導体の原子精度極限ヘテロ積層に関する研究
2. IV族半導体ナノヘテロ積層構造への不純物層挿入に関する研究
3. ヘテロ積層構造の3次元ナノ立体加工に関する研究
4. ヘテロ積層立体ナノ構造物性に関する研究
5. ナノヘテロ立体構造形成装置技術に関する研究
6. Siベースナノヘテロデバイス製作プロセスに関する研究